魔法のクリエイターと言われる理由、お教えします

人は知る。人は感じる。創作で。

好きな理由を考える

 クリエイターは、好きだと思うものを作り出す。

 好かれる作品とは何かを、暗中模索して、考え続けなくてはならない。

 創作活動とは、困難な課題を解決する営みだから、簡単に理解することはできないものだ。

「自分には創作の才能が無い。 」

 という人は、自分が粘り強く作品と向き合ったかを振り返るべきである。

「何かが降りてくる、 」

 この表現は、いかにも天才を感じさせるが、考え抜いた末に閃きが起こることに変わりはない。

 だから、

「自分には才能が無い代わりに、人一倍努力した。 」

 という格好いいフレーズは、天才を別の表現にしているだけだ。

 人が好きだと思う作品を追及する過程は、閃きが起こるまで道筋であり、感じ取り方と表現が異なるだけだ。

 ところで良い作品に出会うと、様々な言葉で「好き」を表現する。

「理屈抜きに良い。 」

「ツボに入った。 」

 他にもあるだろう。

 人を惹きつける「好き」は、感性に訴えるのでとても難しいのである。

【執筆の大原則】 1文字でも余分を削る。

 スマホ電子書籍を読む時代になりました。

 製本した場合と違い、1行が短く、1ページが小さい。

 だから、できるだけ短く書きます。

 自分は論文をたくさん書いたため、1文を短くする習慣があります。

 でもその程度ではないのです。

 「1文字でも少ない文が好まれます!」

 まずは見出しだけ挙げます。

 筆を執ってみようと思った方。

 あるいは書き始めた、そこのあなた。

 既成の方法論を身に着ける前に、ご自分の流儀で咀嚼することが大事です。

 

1 3人称だけでなく、1人称を使う。

2 「こそあど言葉」を出来る限り排除する。

3 「と思った」「と考える」を消す。

4 「こと」「もの」は、要所だけに使う。

5 「頭痛が痛い」に注意。

6 すぐ改行。

7 「空き行」に意味を。

8 言い切りで余韻を。

9 前後を入れ替えるだけで解決できる。

【執筆の大原則】 1文字でも余分を削る。

 スマホ電子書籍を読む時代になりました。

 製本した場合と違い、1行が短く、1ページが小さい。

 だから、できるだけ短く書きます。

 自分は論文をたくさん書いたため、1文を短くする習慣があります。

 でもその程度ではないのです。

 「1文字でも少ない文が好まれます!」

 まずは見出しだけ挙げます。

 筆を執ってみようと思った方。

 あるいは書き始めた、そこのあなた。

 既成の方法論を身に着ける前に、ご自分の流儀で咀嚼することが大事です。

 

1 3人称だけでなく、1人称を使う。

2 「こそあど言葉」を出来る限り排除する。

3 「と思った」「と考える」を消す。

4 「こと」「もの」は、要所だけに使う。

5 「頭痛が痛い」に注意。

6 すぐ改行。

7 「空き行」に意味を。

8 言い切りで余韻を。

9 前後を入れ替えるだけで解決できる。

好きな理由を考える

 クリエイターは、好きだと思うものを作り出す。

 好かれる作品とは何かを、暗中模索して、考え続けなくてはならない。

 創作活動とは、困難な課題を解決する営みだから、簡単に理解することはできないものだ。

「自分には創作の才能が無い。 」

 という人は、自分が粘り強く作品と向き合ったかを振り返るべきである。

「何かが降りてくる、 」

 この表現は、いかにも天才を感じさせるが、考え抜いた末に閃きが起こることに変わりはない。

 だから、

「自分には才能が無い代わりに、人一倍努力した。 」

 という格好いいフレーズは、天才を別の表現にしているだけだ。

 人が好きだと思う作品を追及する過程は、閃きが起こるまで道筋であり、感じ取り方と表現が異なるだけだ。

 ところで良い作品に出会うと、様々な言葉で「好き」を表現する。

「理屈抜きに良い。 」

「ツボに入った。 」

 他にもあるだろう。

 人を惹きつける「好き」は、感性に訴えるのでとても難しいのである。

自分を書くと自分を好きになる

 自伝的な小説を書いたら、青春を追体験出来ました。

 根っこにある本質を知ることができて、もっと自分を出したいと思うようになります。

 論理的に物事を処理する性格は、ずっと変わりません。

 感性で描くはずの絵も、分析して戦略的に描くのです。

 ストラテジックが強みであり、好きな点です。

 1000人が右を向いても自分は左を向く。

 常識を疑い、自分が新たな常識を作り出す。

 力強く道を切り開いてきたことを思い出しました。

 書くことは認識することです。

 漠然と眺めるのではなく、しっかりと見ることができます。

 自信を持てない人ほど、書くべきです。

一番お金をかけたもの

 人生最大の買い物は、家です。

 大抵の人は、家を挙げるのではないでしょうか。

 大きな買い物だったので、慎重に選びました。

 ハウスメーカーを沢山回り、専門家の意見を聞きながら、最も条件が良い物件を探して買いました。

 ポイントは数十年経っても資産価値が下がらず、値切れそうな物件です。

 幸い、建売の新築で、土地の条件が良い物件があったので、交渉して買いました。

 価格の15%ほど値切れたので、満足でした。

 値切りをしようとしたとき、30%ほど値下げした物件もありましたが、値下げし過ぎる物件は信用できません。

 ローンを組んだ時、自分の口座に一瞬数千万円が振り込まれて、ドキドキしました。

 もちろん下ろせはしませんが、取引履歴に残ったのを眺めて、

「こんな金が自分の口座に振り込まれることは、一生ないだろうな」

 としみじみしました。

 インフレが進んでいるので、背伸びして家と土地を買って良かったです。

 土地の価格は高騰しています。

 家も、作りがしっかりしているので、高値で売れるでしょう。

 当面の目標は、ミリオンセラーの小説を書いて、家と土地の価格以上の収入を得ることです。

【小説】私はロボットだから、絶対に忘れません。3

※「私ロボット」タグからページ一覧を見られます。

 

朗々燦々

「さてと。遊園地なんて月並みだよな。まるで昭和のSFみたいだ。 」

 肩を並べて歩いていると、通りの看板が妙に鮮やかだった。

 このままずっと歩いていても良い。

 エクレアは、街並みをキョロキョロ見回している。

 傍目には上京したての田舎者である。

 顔とプロポーションは、目を惹く洗練された女性だった。

カップルは、心拍数を上げるために遊園地へ行くと聞いたことがある。興奮でドキドキすると、恋愛感情と勘違いすることもあるらしいよ。 」

 独り言のように呟いた。

 女の子をどこに連れて行ったらいいのか、皆目見当がつかない。

 あまり女性に気を遣ったことがない研究者気質な人間には、重荷な任務だった。

「そうなんですね。修ちゃんは遊園地に行くと興奮するのですか。 」

 エクレアがキャッチして言葉を返した。

 視線はビルを見上げていた。

 新谷は少なからず驚いた。

 女性に、関心を持って話しかけられたことがあっただろうか。

 歩道のアスファルトも、点字ブロックも、フワフワして柔らかい。

 頭の中には、遊園地の光景が写った。

 ジェットコースターに乗ると、怖いというよりも風で息が詰まりそうになって、横Gにメガネが吹き飛ばないか心配で興奮する。

 耳をつんざく絶叫につられて、

「うわぁ。 」

 と声が出る。

 淡々として、作業するようにアトラクションをこなす自分がいた。

「一般論だよ。行ってみたいところはあるかい。 」

 ついにギブアップして、エクレアに投げた。

 歩いているだけで満足してしまった。

 これ以上どこかに行きたいと思わない。

 目に映る一つ一つの事象が、初めて見たように新鮮だった。

「私は、ブティックに行きたいです。 」

 頭の上から捻り出たような、甲高い声に虚を突かれた。

「そうか。女の子はショッピングが好きだよね。僕は自分のことしか考えてなかったよ。 」

 言われてみれば、遊園地などバカバカしかった。

 エクレアは女の子らしく、小躍りしてこちらを見た。

「じゃ、行きましょう。修ちゃん。 」

 電車に乗り、原宿へと向かった。

 

「わあ。動物のジェラートがある。 」

 エクレアが目を輝かせて叫んだ。

 竹下通りには、フワフワした服を着たメイドさんだの、頭が青い人だの、目がチカチカするような光景が広がっている。

 ブティックもあるようだが、珍しいアイスやドリンクを引き売りする店が目についた。

「何か食べようか。 」

「はい。修ちゃんは、何が好きですか。 」

「さっきのメロンパンアイス、食べたいな。 」

「では、戻りましょう。 」

「ちょっと『エクレア』だと硬いから、愛称考えようよ。 」

「はい。修ちゃん。候補を2,000ほど出しました。 」

「それと、丁寧語は止めよう。 」

「うん。しゅうっぴ。候補を絞ったよ。『エクノン』『エクディアス』『エクジョルノ』『エクッチ』『レアアン』『エクニャ』…… 」

 まったく臆せず踏み込むところは、デジタルの強みだろうか。

 でも急に親近感が湧いた。

「さすが超人的な適応力と発想力だね。『エクニャ』にするよ。ちょっと砕け過ぎかな。 」

「すぐに慣れると思うよ。しゅうっぴ。 」

 メロンパンアイスを買い求め、ベンチで頬張った。

「おいしいね。エクニャ。ところで、どんな服を見たいの。 」

「私、可愛らしい服が欲しいの。 」

「可愛らしい服……。 」

 しばらく考え込んだ。

 女の子が言う「可愛らしい服」とは何か。

 定義があいまいだ。

 まさかゴスロリのことではないだろう。

 いや。そっちの趣味かも知れない。

 普通にピンクの洋服とか、ワンピースとかで充分可愛い気がするが、原宿まで来て納得させる解答ではないだろう。

 可愛い服を着たエクレアのイメージが、次々に浮かんでは消えて行く。

 アイドルコスも良さそうだ。

「えっと。変かな。 」

 難しい顔をした新谷の顔を覗き込むようにして、はにかんだ顔をした。

「あっ。えっと。うん。可愛い服探そうよ。 」

 食べ終えると、人の流れに乗って歩き始めた。

「手、繋ごうか。 」

 周りのカップルが手をつないだり、肩に手を回したりしているのを見て、自然に出た。

「うん。 」

 合金製の手が、柔らかく感じられた。

 いつの間にか、2人の間には余人が入り込む隙のない雰囲気が出来上がっていた。

「ねえ。この服可愛いね。 」

「ああ。似合うよ。エクニャ。 」

「あっ。マイメルデーのぬいぐるみよ。か〜わいい。 」

「ははっ。可愛いね。こっちの大きいの買おうか。 」

 2人は、両手に大量のぬいぐるみと、服の包みを持って帰路についた。

「いっぱい買っちゃったね。 」

「ああ。 」

 電車に揺られながら、これからのことを考えていた。

「そうね。私たち、ずっとこのままでいられると良いのにね……。 」

 新谷の顔色を伺うように、エクレアも遠くを見た。

「何とかならないか、相談してみよう。 」

深淵なる未来

「エクレアと、上手くいってるみたいですね。 」

「ううむ。思った以上に相性が良いようだな。 」

 大木は唸った。

 世界の命運を新谷とエクレアに託したものの、一抹の不安を感じ始めていた。

 2人が楽しそうにすると、反比例して不安がのしかかる。

 スパコンのキーボードを叩きながら、村山も渋い顔をする。

 乾いたキータッチと、ファンの音だけが甲高く響く。

 2人しかいない研究所は、いつもよりさらに広く、荒涼としたサイバー空間と化した。

「ぶっちゃけ、結末はどうなるんですか。 」

 深いため息をつき、唐突に村山が聞いた。

 しばらく沈黙した。

 大木は、しきりに唸っている。

 地下空間に広がる冷めた空気が、肺を重く押しつぶすように淀む。

 呼吸が浅く、速くなっていく。

「うむ。そうだな。なあ。村山君。人生の価値は、密度だとは思わんかね。 」

 苦しそうに言葉を絞り出す。

「まったくその通りですよ。人生は長さではありません。大事を成し遂げ、走り切った人生は素晴らしいものです。私は自分の力を試そうと、この仕事を選んだのですから。 」

 村山は手を止め、大木を横目で見た。

「私にも、行く末は分からんのだよ。ただ……。 」

「ただ? 」

「罪の意識はある。 」

「兵器を開発しているのですからね。我々は、手を血で汚すかも知れません。 」

「しかも、ギガトン級の罪だ。 」

 暗い眼をした大木が、作業台を拳で叩いた。

「新谷君に、度々問い質されて、お辛い気分だったでしょうね。 」

「違うのだ。最も畏れているのは、新谷君とエクレアの心を深く抉ることだ。核戦争は、政治的問題だ。我々の責任は半分だよ。 」

 プロジェクトを始めて3年。

 ロボット開発にかける情熱だけで、走り続けてきた。

 決して簡単ではない問題を、3人力を合わせて次々に乗り越え、完成に漕ぎつけた。

 だが、この先は様々な思いが交錯し、エクレアを翻弄していくだろう。

「ロボット兵器に、複雑な人間の感情を持たせるなど、愚の骨頂なのかも知れん。 」

「矛盾してますよね。消滅する運命にあるなら、感情などない方が良い。 」

自爆テロで命を捧げる人間には、信念がある。だが、ロボットには……。 」

「2人がKIZAに入りました。帰って来ますよ。笑って迎えましょう。 」

「エクレアを狙う、テロ組織、武器商人なども出てくるだろう。いや。憶測で考えても、気を病むだけだ。村山君の言う通り。2人を温かく迎えるとしよう。 」

 入口に乾いた足音が響いた。

 生体認証を通ると戸が開き、新谷が姿を見せた。

「ただ今帰りました。 」

「ははっ。凄い荷物だな。今夜はぬいぐるみに囲まれて寝るんだな。 」

 エクレアが、沢山の包みを作業台に置くと、3人に向けて深々と礼をした。

「私を作っていただいて、ありがとうございます。今日一日は、私にとって忘れられない日になりました。 」

 大木は涙を噛み殺した。

「なんだい。改まって。これからも頼むよ。君たちは世界を左右するプロジェクトの中心にいるのだからね。 」

「よっ。しゅうっぴ。色男。夕飯にしよう。土産話も聞きたいしな。 」

 いつものように、作業台へ木崎が夕食を運んできてくれた。

「さあ、今日はお祝いだ。しゅうっぴとエクニャの前途に乾杯しよう。 」

 5人で食卓を囲み、ささやかな宴会が開かれた。

「で、これから2人はどうなるんですか。 」

 木崎は詳しいことを知らない。

 ただ、幸せそうな2人を見て、聞かずにはいられなかった。

「次のプロジェクトが始まるから、私と村山君はここに残る。新谷君とエクレアは外で暮らすことになる。 」

「なんだ。そうだったんですね。良かったじゃないか。新谷君。 」

 笑みがこぼれて、皆エクレアを見た。

「自分の宿命は自覚しています。でも、ロボットの人生は、長さではなく密度だと思います。この先何があっても皆さんのことを、私はロボットだから、絶対に忘れません。 」

ホーム画面について

今週のお題

 

 スマートフォンタブレットのホーム画面には、アプリのアイコンと背景画像がある。

 アプリはどんどん増えて行くので、フォルダに分類しているが、買い物サイトとGoogle関連のフォルダの中身がとても多くなってしまう。

 ちなみに自分はAndroidiPadChromebookを併用している。

 Googleサービスを使う頻度が高いため、どのプラットフォームでも差支えない。

 最近は、Googleアカウントにアプリを紐づけられるため、新しい端末にインストールし直す手間がなくなった。

 iPadiPhoneを併用するユーザーは、Appleを崇拝する傾向がある。

 Appleは、ユーザーのことを考えて、優れたデザインをしてくれる、という信頼関係あるのだ。

 確かにiPadとAppleペンシルを使い始めると、使い勝手の良さに驚いた。

 だが、Androidでも同じことが可能だし、Windowsパソコンに繋いでいる液晶タブレットならば、20インチを超える大画面で、精密な筆圧感知、色再現ができるため、もッと性能が上である。

 だから、iPadだけが特別優れているわけではない。

 ホーム画面のデザインは、どのプラットフォームでも設定でカスタマイズできる。

 そして自分に合ったホーム画面は、時間をかけて熟成された機能性があるものだ。

 例えば机に向かって、作業をしようとするときに、パソコンのキーボードやマウス、アームレストなどの位置、書類を置く場所、充電器の位置などを日常的にレイアウトしている。

 ホーム画面も似たところがある。

 使用頻度が高いアプリをひとまとめにして、目につきやすい位置に置いたり、ニュース、メールチェックなど定型的に毎朝見る項目はショートカットを作成したりする。

 これはインターフェイスと情報をデザインする行為である。

 ホーム画面はユーザーの生活の痕跡でもある。

 

今週のお題「ホーム画面」

二択にしない

 論理的に処理しようとすると、2択になりやすい。

 「できる、できない」「良い、悪い」など、対立する要素を対向位置に置いて、どちらに属するかを考えれば、整理できる。

 演繹的に論理を積み重ねて、結論を出すには都合が良い。

 だが、現実の事象は帰納的に認識するものである。

 コンピュータは0か1か、つまり全か無かの法則であらゆる処理をする。

 デジタルは、黒か白かで、中間のグレーがない。

 だが、デジタルが大規模に集積すると、グレーが出現する。

 コンピュータの処理能力が上がると、全カ無かの法則を意識することが減ってきた。

 昔のパソコンは、プログラムで予め決められたことしかやらない堅物だった。

 しかし、文字を打っていると、先読みして変換する能力が上がったし、文脈から単語の間違いを指摘してくれるので、人間が思考しているかのようだ。

 パソコンがクリエイティブになったのではなくて、処理が高度になり、デジタルの集積が大規模になったせいである。

 我々人間の思考にも、コンピュータの進化のように、多角的な思考が求められるのは、時代の流れである。

完璧を求めない

 作品を構想するとき、考え続けるときりがなくなる。

 だからある程度構想がまとまったら、失敗を恐れずに書き始める。

 途中でまとまらなくなっても、最後まで書く思い切りも必要だ。

 文章を書く目的には、2つのフェーズがある。

 1つは、良い文章を書くこと。

 2つ目は、良い文章を書く実力を養うこと。

 完壁を求めるとき、1のフェーズに注目している。

 今取り掛かっている文章を、良くするために書くのは当然だが、良くなるかどうかは書いていないと分からない。

 そして、時間を浪費することになる。

 だから、2つ目のフェーズに焦点を移して、未来の作品に期待することが重要だ。

 実験を重ねて、将来良い作品を書けるようになると思えば、気が楽になるだろう。

【小説】私はロボットだから、絶対に忘れません。2

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エクレア、起動

 殺風景な研究室に、スパコンを冷やすクーラーの動作音が響く。

 キーボードを叩く音が止むと、3人はエクレアを囲んで向かい合った。

「新谷君。エクレアを起動する前に伝えることがある。 」

「何ですか。改まって。 」

 大木が、新谷の肩を叩いた。

「エクレアを君に託す。目的は話したな。 」

「はい。エクレアは、人間社会に溶け込む必要があるんですよね。 」

「そうだ。広範囲を一瞬で消滅させる兵器は、ミサイルで飛ばすよりも、潜入させた方が効果的だ。 」

「理解しています。抵抗はありますが、逆らったりしませんよ。 」

「うむ。それならいい。 」

 村山は、スパコンに何か入力した。

「最終調整が終わりました。いつでも行けます。 」

「では、新谷君。起動ボタンを押してくれ。 」

 研究室は、200畳ほどの空間である。

 3分の1くらいを占めるスパコンが、エクレアに膨大なデータを転送し、あらゆる状況をシミュレーションしてきた。

 画面上でやり取りをしてきただけで、実際に動かすのは初めてである。

 見慣れた研究室が、妙に広く感じた。

「テープカットとか、くす玉とかないんですね。それっ。 」

 エクレアのうなじに手を回し、ボタンを押した。

「絵的に、ちょっとエロくなるな。 」

 村山が笑う。

 女性に、のしかかったような格好だ。

「変なこと言わないでください。 」

 鳶色の双眸が開かれた。

 新谷は顔を覗き込む。

 大木は、固唾を飲んでエクレアを見つめていた。

 遠目に見れば、すぐにロボットだと分からないほど良くできている。

 本当に美少女アイドルが、作業台で眠っていたかのようだ。

「……。 」

 ゆっくりと上半身を起こした。

 部屋を見回しながら立ち上がると、3人をじっくり眺めている。

「新谷 修二さん、29歳。大木 幸三さん、52歳。村山 泰正さん、43歳。ロボット研究者……。 」

「おおおっ! 成功だ! 」

 拳を突き上げ、村山がガッツポーズを取った。

「僕を、最初に呼んでくれたね。 」

 エクレアの髪は栗色に輝き、スラリとした8等身の完璧なバランス。

 そして、あらゆるパターンを解析し、最も好感を持たれる声質にした。

「女性の、良い声の要素は4つ。高く、少しハスキーで、落ち着いた、甘い声だ。 」

 力強く村山が言う。

 エクレアが、新谷に向き直った。

「新谷さん。修二さん。修ちゃん。呼び方はどれにしますか。 」

「修ちゃんで。 」

 答えたのは村山だった。

 新谷が、ちょっぴり顔を赤らめた。

「新谷君。エクレアを連れて、散歩でもして来てくれ。 」

 ドアへと新谷を促した。

 ずっと軟禁状態だったが、時々外出を許されていた。

 とはいえ、目的なく外を歩くのは3年ぶりである。

 しかも、女の子と一緒に。

「あの……。僕一人で良いんでしょうか。 」

「さっさと行ってきなさい。任務も忘れないようにな。こっちはデータを取る。そして、楽しんで来なさい。 」

 大木はすっかり父親のようになって、新谷を諭したのだった。

 

 研究所の出入口は、カフェ「KIZA」に通じている。

 もちろん、政府関係者が常駐していて、秘密の隠し通路を守っていた。

「キザさん。コーヒーセットを2つください。 」

 カウンターに座ると、マスターの木崎に声をかけた。

 出入りするときには、必ず声をかけて、コーヒーを一杯飲むことになっている。

 店内には、コーヒー豆の香ばしさと、ジャズの音が満ちている。

 今日は深入りローストコーヒーの香りが立ち込めていた。

 まさか、地下の殺風景な研究所に、通じているとは思わせない空間があった。

 小さな店内には、カウンター席数脚と、テーブル席が2つある。

 一般客が来ることもあるので、様子を見てから外に出るために一息つくのである。

「やあ。新谷君。彼女と一緒で、ご機嫌だね。 」

 エクレアは、魅力的な女性だった。

 まだほとんど言葉を発していないが、村山が完璧な女性に仕立てたのか、立ち居振る舞いが柔らかく、見ているだけで心が和む。

 木崎はドギマギした表情をしたところを、見逃さなかった。

「違います。いや、違わないんですけど……。エクレアと散歩に出ます。 」

 親しくすることも任務の内だった。

 エクレアは、静かな眼差しで新谷の横顔を眺めた。

好きなものを作る

「これ好きだな。 」

 と思ったら、良さを分析してみる。

 「好き」は、最も信頼できる指標である。

 論理を超えて、真理を直観し、しかも情緒的な感覚を伴うからだ。

 他人の作品を見て、熱狂的に好きになると、自分の創作にも熱が入るものだ。

 作品の一場面だったり、キーワードだったりもする。

 文章を好きになるのは、国語の正しさを無視して、音律とイメージが良いときである。

 「文章の書き方講座」に頼り過ぎると、文章を感じ取るアンテナの感度が下がると言われる。

 例えば「起承転結」を明確にすると良い文章になるだろうか。

 無理にこじつければ、大抵見出すことができる。

 つまり、起承転結がドラマチックなストーリーの骨格だと言えるが、ドラマチックな作品には、大抵見いだせるのだ。

 逆に、全くドラマチックな要素がない文章を書くとすれば、具体詩を繋げた文章になる。

 単語の意味を排除するのである。

 具体詩には、別の意味があるので、ドラマがない訳ではないが、文章ではない視覚的要素から滲み出るのである。

 「好き」だと思う直観は、体験から積み重ねた思考がもたらす。

 経験の蓄積が「好き」に結晶するから、創作するときに好きなものを作るべきである。

作品を自分で評価する

 他人の評価を聴くと、半分は別の意図が含まれている。

 出版社の編集者は、商品になる文章かどうか。

 文章を書く友人なら、自分自身の創作と比べて創作体験から参考になる部分を指摘する。

 小説の評価は難しい。

 創作性の部分を、直接評価しようとすると、自分の体験を話してしまいがちだ。

 実体験が大事だ、と話すために、昔読んだ有名な作品や、ミリオンセラーになった作品の一節を話して、納得させようとする。

 信憑性ある話にするために、致し方ないが、有名な人と比べると、反論しづらくなる。

 どんな大家の実例であろうとも、一つの論には必ず反論がある。

 他人の評価には、限界があるのだ。

 最終的に、誠実な評価を期待できるのは、自分自身しかいない。

 自分の主観をできるだけ排除して、過去の実例を引かずに、時間をおいてから読み直すのが最善の方法である。

 また、自分が判断を下せば、責任を取れる。

 失敗したら、評価し直せばいい。

「サボり」という名の自己表現。「父親」からの自己解放。

父親をサボれたらいいですねぇ。

連休中は子どもとお出かけしました。

だいたい暦通り休みましたが、常に子供の声がする家。

毎日元気いっぱい、かわいいのですが、多分騒音に当たる50デシベルを超えているうるささが続きます。

まだ事理弁識能力が怪しいので、意味不明なことや、ゲームの世界のことを喋りまくり、喉が渇き腹が減ると、大声で呼びつけられます。

家の中で走り、跳び、歌い、踊り、喧嘩して……。

外に出てもその調子なので、車に注意するよう10分おきに説教します。

その合間に出版社と4回話し、推敲を続けました。

いつものことですが、たまに子供が留守になると、心の底から安らぎます。

 

今週のお題「サボりたいこと」

多様性で、あなたの人生が変わったらすみません。

「多様性」だけをピックアップして書くと、哲学的な問題になります。
考えるとき、反対のキーワードを意識するのは、正反対です。
「美味しいもの」を認識するには、反対の「何とも思わないもの」を意識するように。
単純な図式を頭に描いて、持論を作り上げると、思考が硬直化します。
「また同じこと言ってる」となるわけです。
多様性を意識すると、
若い女性ならどう考えるかな」
「老人なら」
「犬、猫なら」
「宇宙人なら」
などなど、話が膨らんで、多角的に見ることができます。
人間関係では、硬直化した人が近くにいると息苦しくなってきます。
肯定するか、否定するかの2択になるからです。
多様な意見を認められないので、こちらは気を遣います。
文章を書くときには、たくさんの価値観を意識して書くべきです。
自分の文章が読まれるとき、人によって解釈が変わります。
多様性が世の中の秩序を作っているのですから、そこに一石を投じることによって、どう影響するかを考えるのです。