「抽象的イメージを具象で表現するには、イメージが遠いもの同士を組み合わせるといい」
例えば「鉄」を表現するときに、「ナイフ」と「フォーク」で表現したとしよう。
ナイフとフォークでイメージすることは「食事」や「レストラン」だ。
道端で看板を見つけて、ナイフとフォークのシルエットが描かれていたら、誰でも食事できるところがある、と思うだろう。
鉄製のナイフとフォークをイメージする前に、もっと強いイメージを想起する。
だから失敗だ。
日常会話で、我々は同じような失敗をしょっちゅうしている。
自分が言おうとしたことが、相手に伝わらず、
「俺の話を聞いているのか」
とか、
「この人たち、話を聞いてない」
と怒ったり、愚痴をこぼす。
問題の本質は、表現する側にある。
「他人に何かを伝えるのは難しい」
というが、こういうと相手が悪いように聞こえる。
だが、反省すべきは表現者の方である。
鉄の問題に戻ると、
例えば「スパナ」と「フォーク」ならどうだろうか。
今度は「食事」ではない。
スパナでものを食べる人はいないだろう。
これでまあまあ、「鉄」が表現できた。
だが「道具」というキーワードでつながっている。
もっと遠いモチーフならば、完璧に近づく。
あとは宿題にしたい。考えてみて欲しい。