クリスマス前のデパートで、ある男性が最後の商品に手を伸ばしたところ、ある女性と同時に掴んだのだった。
たまたま話が弾み、カフェでお茶をした。
男性は別れ際に、1ドル紙幣に連絡先をメモして手渡した。
すると、目の前の売店で使ってしまう。
「この出逢いが本物なら、また会えるはず…… 」
これはある映画のストーリーである。
我々は偶然に意味がある、と思ってしまう。
占いはその最たるものだ。
タロットカードは、シャッフルしたカードを偶然に任せて並べていく。
おみくじは箱に入った棒をランダムに取り出す。
ネット上の占いサイトでは、乱数を生成してコメントを表示するものがある。
占い師は、どんな結果が出たとしてもクライアントに納得してもらう話術を駆使して、ある程度あいまいに話す。
こうして自分の内部を見つめなおし、人生に適切な修正舵をあてていただくことができたらビジネスは成功である。
「あの占いのおかげで人生が明るくなった」
となって、またリピーターが来るか、良い噂が広まるのだ。
また、調べ物をしていて、たまたまヒットした事柄に脱線していくことがある。
目的の解説よりも、意図していなかったものの方が魅力的な情報だと思うからである。