最も重要なことは「支点に注目する」ことである。
人間の体には、たくさんの「テコ」がある。
シーソーのようにそのテコを使うことが武道の身体操作である。
それと、エネルギーの始点である。
例えば、腕は前腕と上腕に分かれている。それが肘で連結されている。
ヌンチャクという武器があるが、あれが腕だと思えば近いイメージである。
ちなみにすべての武道は、武器術に通じている。
1 重さを利用して振り回す
腕の重量を意識して、体幹部の中心(背骨と横隔膜あたりにある真の腰)から動きを発動する。そして、後は惰性で振り回す。
※真の腰……四足歩行の名残りで、動作の起点になる腰は横隔膜の背中側にある。解剖図で筋肉のつき方を見ればわかる。骨盤と背骨の接合点は、これとは異なる。腰痛になったとき押さえるところよりもかなり上にある。
2 支点を、器物の中心に一致させる
2mくらいの棒を持って、負荷がない動きをやってみるとわかりやすい。棒の端を持ったら振り回すのは困難である。中心を持てば力は必要ない。これが基本になる考え方である。腕の場合は前腕の中心と、上腕の中心を動かさないようにして全体を調和させれば、ほとんど力がいらなくなる。
これが武道の身体操作の大まかな理屈である。
このイメージを持って行住坐臥すべてにおいて実践する人が武道家だと思う。