言わずと知れた、中国を舞台にした壮大な歴史物語である。
とても長くて、読み終わるまでにかなりの時間がかかった。
中学生の時に持っていた、文学全集のセットに入っていた、原典に近い「三国志演義」を読んだこともある。
こちらは結構難解な部分があった。
また当時、ファミコンの全盛期で、光栄のゲームソフト「三国志」を買って友達同士で遊んだことを思いだす。
学校で学習する社会科の中でも、世界史の中国史と、日本史の魏志倭人伝など、関連した項目もあるし、中国というとても広い大陸の文化を感じ取ることができるため、ただの遊びではなく「教養」という意味合いもある。
三国志の魅力は、何といっても個性的な豪傑と、奇抜な戦略を次々に繰り出す軍師など、英雄の活躍である。
「歴史好きはみんな読む」というキャッチコピー通り、志を立ててそれを実現するストーリーは魂を揺さぶる。
劉備玄徳というムシロ売りが、関羽雲長、張飛翼徳と出逢い、桃園の契りを交わす場面はあまりにも有名である。
また諸葛孔明は歴史上重要な著作も残しているし、劉備が配下に加えるために尽くした「三顧の礼」は故事成語になっている。
エピソードは枚挙にいとまがないほどで、このような濃厚な物語が詰まった作品は、何回読んでも飽きさせない。
題名になった魏・呉・蜀の三国は、諸葛孔明の天下三分の計により、絶妙なバランスを保っている。
魏の曹操・呉の孫権・蜀の劉備はそれぞれに生い立ちが違い、キャラが3分割されたように互いの個性を対比して、魅力を際立たせている。
曹操は文武両道で、すべてにおいて高い能力を示すが、四字熟語にもなった「乱世(の)姦雄」といわれ、名声を得て中国全土を己の力をたのみに支配しようとする。
孫権は名家の出であり、優秀な水軍を備え、華南を支配するが、決断力に欠けるところがあった。
劉備は「徳の劉備」と呼ばれ、仁義に厚く、頑固親父のように一徹で、民や武将の信頼を得て、優秀な人材が次々に集めていくので、曹操が手練手管で引き抜きをしようとしたほどだった。
中国はとても広いため、中国史を理解するには国土の広さを理解することが不可欠である。