印象深いのは、東日本大震災である。その時いた場所は、都市部の地盤がしっかりした地域だった。
電線が長縄跳びのように振り回され、天井が落ちた場所も遭ったが、自宅は被害がなかった。
あえて言えば、台所洗剤が皿の上に落ちて、皿が淡まみれになったことくらいで、他の物は倒れもしなかった。
翌日、母が倒れたばかりだったので、実家の様子を見に帰ったのだが、半分くらいの道のりである20キロほど歩き、途中で中学時代からの友人に迎えに来てもらった。
公共交通機関はストップしていたので、足がない自分はそうするしかなかった。
湿地帯だった地域など、地盤が柔らかい場合は、大きな被害があった。
店のガラスが割れ、看板が落ち、商品棚が倒れていた。
後に家を買うときには、この教訓を生かして、地盤を調べた。
そしてガソリンがなくなり、タンクローリーのあとをついていく車をたくさん見た。
ガソリンスタンドには数キロの列ができた。
福島原発事故が起き、計画停電が始まり、冷え性ではない自分でさえ足の冷えで眠れなかった。
省エネに対する意識が全国的に高まって、電気を節約する習慣が身についた。
被災地をクリエイターが訪れて、イベントをする誘いが来たが、介護が始まったばかりで行けなかった。
様々な分野のクリエイターがこぞって訪れて被災者を励まし、情報発信をしていた。
これほど日本人の価値観を変えた災害だった。