時は戦国時代。自らを第六天魔王と称した織田信長の非道によって、世の中には阿鼻叫喚の世界が広がりつつあった。妖魔のごとき盗賊が村々を襲い、殺し、奪う。有力大名に仕える武士にとって、そんな世の乱れを正すことが、共通の大義名分になりつつあった。…
死地へ 「囲まれた! 」 |飛垣源次《ひがきげんじ》は死を覚悟した。 動くたびにガチャガチャと黒備えの鎧が鳴り、金具は半分近くが落ちて、だらしなく紐が垂れていた。 林の中、ずっと走り続けてきたせいで、具足は痛み、髪は乱れ、落ち武者という風体であ…
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