2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧
神々が沈む闇 ▲76歩、△34歩、▲75歩…… |牟田《むた》は上目遣いにして、相手を睨みつけた。 「馬鹿にしてるのか」 盤面に没頭している|隼鷹《じょうい》から、|外連味《けれんみ》は感じられなかった。 「コンピュータならほとんど指さないでしょう。 私は…
ランキング参加中創作 有名国立大学の法学部在学中に司法試験を一発で突破し、検察官になったエリートである神山は、スマホに目を落とした。 同居している妹が、そろそろ家に帰ってきて夕飯のメニューを相談する時間である。 SNSにはまだ投稿がない。 どうし…
ランキング参加中創作 宇宙開発が本格化する中、深海に海底基地を建設した。 メディアには小さく取り上げられ、月面基地がヒマワリなら海底基地はひっそりと咲く月見草だと誰かが言った。 水深1000メートルの世界では1平センチメートルに100キロの負荷がか…
ランキング参加中創作 最後の実践忍者として有名な高見庄司の内弟子だった内藤は、あらゆる格闘技と武器に通じるリーサルウエポンと化した。 国際テロ組織に立ち向かう公安警察に配属されてからというもの、毎日監視カメラの映像を分析して危険因子を探して…
ランキング参加中創作 凄腕のゲーム実況者である俺は、最新のゲームを一日中やり込めばすぐにクリアできた。 新しいアイテムやマップなどを紹介して、広告料で稼ぐ。 簡単に普通のサラリーマンが生涯かけて稼ぐくらいの額になった。 ゲームで遊んでるだけだ…
ランキング参加中創作家達の集いの場 推し活に賭ける青春。 大好きなアイドルのグッズを集め、コンサートへ行く。 僕は5年前からずっとこんな調子だった。 高校生の癖にちょっぴりお腹が出た勘太と一緒に、電車に乗った。 「どっちの手で握手する?」 隣に…
ランキング参加中創作 見渡す限りレゴリスの荒野が広がる。 大気がないため隕石が秒速10キロメートル以上の速度で激突する月面。 風も水もないから砂や石が鋭利な形をしているのだ。 人智を超えた吸血鬼は、寒さ、暑さ、放射線にも耐性があった。 宇宙開発に…
ランキング参加中言葉を紡ぐ人たち 浪人生にとって、惣菜屋が集まる駅前の一角はひとときの安らぎの場だった。 頭にはベレー帽を少し斜めに被り、色あせたシャツにパンツ。 髪は自分床屋で適当にカットしたガタガタのライン。 目だけはギラギラとして、鼻息…
ランキング参加中言葉を紡ぐ人たち 地下鉄を降りてエスカレーターに乗っていると、朝のラッシュから解放される。 人の流れがまばらになって、地上の陽射しが眩しい。 目を細め、手をかざすと高いビルがいくつか見えた。 奥のビルはネットで調べた通りの佇ま…
ランキング参加中言葉を紡ぐ人たち 袈裟に身を固めた除霊師は、コスプレ会場では風景のように馴染んでいた。 真言密教のマントラを唱えて見せると、何を勘違いしたのかスマホを向けて撮影会が始まった。 |懐《ふところ》から|独鈷杵《どっこしょ》を取り出…
灼熱の都会 真夏の朝は、外を歩いているだけで肌を焼き心を疲れさせた。 新宿にある本社へ出向くため、祥人は歩を早める。 空には雲一つない。 容赦ない熱放射によって街路樹も葉を垂らしていた。 陽射しにたまらず視線を落とすと、白いコンクリートからの反…
ランキング参加中自作小説の集いの場 神社に勤めている私は、毎日社務所に詰めてお守りやお札をせっせと並べ、日がな一日座っていた。 神に仕える、という仕事は退屈極まりない。 時々集まりに参加する以外はお祓いの手伝いとか、社務所に来る人の相手をする…
ランキング参加中創作家達の集いの場 瀬戸内の離島には、元々医者がいなかった。 急病人が出ると、船で運ぶ時間が惜しいため島民から医者がいてくれたらと言われていた。 都会の暮らしに疲れ、時間がゆったりと流れる島暮らしにあこがれていた俺は一戸建てを…
ランキング参加中小説家 郵便配達をしていると、手紙の中身がなんとなく分かるものである。 例えばハートのシールが貼ってあると、恋人に送るラブレターである。 どんな恥ずかし台詞を書いてあるのか、つい想像してしまう。 あからさまなラブレターを送る先…
ランキング参加中創作 はるちゃんは、身体の99%が機械である。 サイボーグだから、ご飯も食べないしおしっこもしない。 1年前。 友達と道路で遊んでいた時に、ふざけて車の前に飛び出してしまった。 避けきれずに|轢《ひ》かれてしまった。 助かるには、…
ランキング参加中創作家達の集いの場 この世界には、長い年月をかけて作り上げた生物の秩序があった。 海で産まれた生物は、水の中を自在に泳ぎエサを捉え子孫を残してきた。 人間が自然を荒らすまでは。 世界一の賞金額を誇るカジキ釣り大会で優勝した俺は…
ランキング参加中創作 中学校の生徒会長になった中田は、成績優秀で近所の評判も良かった。 だが、学校に批判的だったり卒業してからグレてしまったりする先輩が多くて、陰口も言われる。 先生方から見て「良い子」でいるには、とてつもないストレスがかかる…
ランキング参加中KADOKAWA × はてな小説投稿サイト「カクヨム」 都内の関東医科大学に設置されている生体工学研究所。 入口に博物館があり、新薬研究に関するイメージ動画や分子モデル、薬学の歴史などが展示されていた。 反対側にはオープンテラスのあるカ…
ランキング参加中小説 novels 真冬の寒さがウソのように、陽だまりに熱がこもる。 全面ガラス張りのサンルームには、観葉植物があった。 深緑の大きな葉を広げ、のびのびと太陽を受け止めていた。 大学教授の田村は、日向ぼっこをしながら、うとうとする。 …
ランキング参加中自作小説の集いの場 幼い頃から病弱だった私は、よく一人で遊んでいた。 本が好きで、家の本棚には全集物やミステリーなどがずらりと並んでいる。 小学校3年生のときに小説を書き始める。 執筆に集中するために地下室へ籠るようになった。 …
ランキング参加中言葉を紡ぐ人たち ファイナンシャルプランナーである愛子は、史郎の家に遊びに来ていた。 兄史郎は幼い頃から寡黙で、人と接するよりも一人で本を読む暮らしを好んだ。 大学では東洋哲学を専攻し、研究者として論文も発表している。 結婚し…
ランキング参加中自作小説の集いの場 2年間の傭兵生活を終え、遊馬は東京に帰って来た。 毎日のようにスクランブル発進させた戦闘機の感触が、両手と腹に深く残っていた。 人殺しは誰よりも上手くなった。 すべては心臓病に苦しむ娘のため。 敵機や戦車を破…
ランキング参加中小説家 高齢化が進み、医療関係者の待遇は良くなってきている。 だが薬剤師だけは、昇給のペースが変わらない。 新卒の賃金は良い方だが、なかなか上がらないのである。 薬学部を出て、社会に出たら研究職に憧れる者が多い。 それは一般的な…
ランキング参加中ブログで小説書いちゃいましょう! 獣医になるには、6年制大学の獣医学科を出なくてはならない。 全国に20もない希少性、そして多岐にわたる専門知識を求められるのだ。 なのに人間の医者に比べて社会的地位は低い。 動物系専門学校を出れ…
人類は月面基地に1000人を送り込んだ。 ついに地球外で本格的に生活する時代に突入する。 依然として地球の「国」という枠組みは残したまま。 人口が増えると、犯罪が起こる。 月面基地には逃げ場所などないはずなのだが。 T国の犯罪組織の1人が紛れ込んで…
ランキング参加中創作家達の集いの場 12畳ほどの部屋に、6人が生活している。 隅には便器と洗面所。 食事は窓の下から取る。 人数分、多くも少なくもなく、身長に応じた量が出された。 だから、ここに来るとみんな痩せてくる。 雑居房に入った俺は、一日中…
ランキング参加中小説家 学校ではいつも目立たない俺は、図書館で本を読んで気を紛らわせる。 頭の悪い奴らが、俺のカバンを蹴って金を要求してくる。 いわゆるいじめられっ子だ。 でも、俺には彼女がいる。 とっても美人で本好きだ。 今日は一人だけど、何…
ランキング参加中創作 T県の山奥に洋館がある。 時の流れが止まったかのように、荘厳な佇まいで森の中にひっそりと調和していた。 木製の重い扉を押し開けると、軋みながら光が一本の筋を中へ落とす。 奥の部屋には豪華なドレッサーがあった。 鏡の中にはお…
ランキング参加中言葉を紡ぐ人たち ここはT県立総合病院の手術室。 天才脳外科医である弟は、今日もメスを握る。 脳卒中の患者が毎日運び込まれ、手術日程が空くことはない。 何かに取り憑かれたように患者と向き合い続けた。 兄である俺は、商社で事務職を…
ランキング参加中創作 俺が歌手デビューしてから、もう10年が経った。 キャバレーで時々歌っていたら、歌唱力を認められてヒット曲も何本か飛ばした。 そんな俺は、あろうことか対人恐怖症だった。 ステージにいる時はいつも上の方を見て、できるだけ人が視…