はるちゃんは、身体の99%が機械である。
サイボーグだから、ご飯も食べないしおしっこもしない。
1年前。
友達と道路で遊んでいた時に、ふざけて車の前に飛び出してしまった。
避けきれずに|轢《ひ》かれてしまった。
助かるには、サイボーグとして生まれかわるしかなかった。
こうして生まれ替わったはるちゃんと、僕はいつも一緒である。
幼稚園に戻って来たばかりの頃は、物珍しさに大人たちがジロジロ見ていたが最近はすっかり馴染んでいる。
これから毎年オーバーホールして、部品を取り替えて成長させるのだそうだ。
見た目は普通の人間だが、機械だからオプションでいろいろな機能がついている。
例えばお腹に仕込んだスピーカーで音楽を聴けたり、背中のタッチパネルで地図を調べられる。
腕も足も、常人の数万倍の力を出せるし、100メートルを3秒で走ることも可能だ。
小学校を卒業したら、ドローンを装着して空を飛ぶのだと嬉しそうに話している。
面白い奴だけれど、僕には一つ疑問があった。
なぜこんなサイボーグを作ったのだろう。
スペックがデタラメに高い。
正義のヒーローでも育てようというのだろうか。
そんな疑問は、ある日突然明らかになった。