浪人生にとって、惣菜屋が集まる駅前の一角はひとときの安らぎの場だった。
頭にはベレー帽を少し斜めに被り、色あせたシャツにパンツ。
髪は自分床屋で適当にカットしたガタガタのライン。
目だけはギラギラとして、鼻息荒く今夜のおかずを品定めする。
やっぱり肉団子だな。
惣菜屋のお姉さんと親しくなったので、少しおまけしてもらいサラダを付けてもらえた。
実は、SNSでもお姉さんにお世話になっている。
書き込んだ内容から、素性がばれて名前も浪人中であることもわかってしまう。
まったく飾り気がなく、夢に向け邁進する若者に好感が持てた。
今どきクールな若者だね、なんてSNSに書かれていた。
いつもの肉団子でエネルギーをチャージして、夜の部に挑むのだった。