魔法のクリエイターと言われる理由、お教えします

人は知る。人は感じる。創作で。

【プロット】ビアガーデンにいるシスコンの検察官

 有名国立大学の法学部在学中に司法試験を一発で突破し、検察官になったエリートである神山は、スマホに目を落とした。

 同居している妹が、そろそろ家に帰ってきて夕飯のメニューを相談する時間である。

 SNSにはまだ投稿がない。

 どうしたのかと考えてみると、思い当たる節があった。

 最近帰りが遅くなっている。

 付き合いの飲み会だとか、女友達とカフェでお喋りをしたなどと理由をつけているがどうも怪しい。

 職業柄犯罪者の尋問をしていると、人の言葉の裏を考える癖がついていた。

 まさか、彼氏ができたのか。

 突然結婚すると言い出すのではないだろうか。

 神山は仕事一筋で、生活力はまるでなかった。

 家事はほとんどやらず、片付けも苦手である。

 妹に小言を言われても、妙に心が落ち着いて身の回りの世話をしてくれる今の生活に満足していた。

 だから誰よりも妹を大事にして、月に一度はプレゼントを買っていた。

 今日の沈黙はいつもと違う気がする。

 考え始めると苛立ちが止まらなくなる。

 仕事を早めに切り上げ、独りでビアガーデンに繰り出した。

 真夏の夜は蒸し暑い。

 汗をかきながら暑気払いを一人ですると、周りでどっと笑う集団がいたり、断片的に職場の話などが耳に入ってくる。

 神山は全然酔えなかった。

 妹が心配だ。

 スマホを忘れてきたのかもしれないと思い、家に帰ることにした。

 いつものようにインターホンを鳴らしても応答がない。

 鍵を開けて入ると真っ暗だった。

 だが玄関には妹の靴があった。

 嫌な予感がした。