G県のターミナル駅。
ロータリーを挟んで向かい側に大きなショッピングモールがある。
サイネージがCMを間断なく映し出し、ラジオ局からの告知が聞こえた。
その日もキャッチセールスをしていた荒瀬は、ふらりと売り場の地下へやってきた。
本屋の向かいにブースがあって「占」と大きく書いてある。
ランプが消えていたので珍しく客がいないようだ。
覗いてみると、中年の占い師と目が合った。
「おっと、見ようか」
手招きされ、腰かける。
「商売、上手くいってないのかい」
手相を見て、カードで何か出たらしい。
「才能が無いではないが、ううん。」
唸って顔を見る。
「あなたは、何か持ってる。
それは間違いないよ。
入ってくるときに物凄いオーラを感じたからね」
「ときどき絵を描いています」
「へえ、ちょっと描いてみてくれる」
メモ用紙とペンを取り出した。