日本は冤罪逮捕が多い国である。
罪刑法定主義により、条文に当てはめて刑を決めるから間違いが起きやすいのである。
無実の罪で死刑を言い渡され、執行を待つ間に諦めてしまう者もいる。
だが、森山は生きる道を選んだ。
例え泥にまみれても、生き延びなくてはならない理由があった。
脱獄に成功してもすぐに行き詰ってしまう。
だから脱獄を企てるものは少ない。
もしその先のプランがあったら ───
「プロのスパイでも、こうは行かないだろう ───」
ほとぼりが冷めたころ帰ってきて、おもちゃ屋に入った。
子どもが生きていれば、小学校3年生である。
ゲーム機を買い求めた。
世間では、死んだことになっている人間である。
2年間外人部隊で戦い抜き、奇跡的に生き残って帰ったのだ。