「タレントなんざ、じゃがイモみたいなもんだ」
台本を書きながら、ボヤいていたが少し毒を入れることにした。
普通の流れではつまらない。
ハプニングに視聴者は喜ぶのだから。
バラエティはすべてが予定調和である。
予測不可能な展開を演出するのが構成作家というものだ。
頭をかきむしり、
「企画が通ったはいいが、タレントがダメだな ───」
つまらない番組を作ってしまった、と思いながらも番組は高視聴率だった。
「結局なあ、世の中毒で成り立ってるのさ」
行きつけの料亭でフグをつつきながらドヤ顔で話す。
つまらない番組は、刺激が強い。
大声で笑ったり、ズッコケて見せたりすると良い番組なのだ。
評価されるほど、自己評価は下がる一方である。
そんなある日、番組を0から企画する仕事が入ってきた。
予算だけが決まっていて、納得いく番組を作れというのである。
今までにないような番組を作って世間をあっと言わせたくなった。