食い詰めた和也は、自暴自棄になった。
犯罪でも犯せば、最悪刑務所で飯が食えるなんて考えていた。
どうせ家族はいないし、両親とも死んでしまった。
死んでもいいが、それも面倒だ。
大きな一戸建てが集まる地区へふらりと迷い込んだ。
道でスケボーをして、大声でキャーキャー叫んで遊ぶ子どもたち。
道路交通法違反だ。
世の中は犯罪であふれて
そう考えるとハードルが下がる。
そして犯行に及んだ。
その子は目を輝かせて付いてきた。
「おもちゃ買ってあげるよ」
見知らぬおじさんに言われたら逃げろよ、と思いながらも自分は子どもに好かれるのかななんて。
少しだけ自己肯定感がライジングした。
寒いのでガラス張りのサンルームに落ち着いた。
途中で買った最新のタブレットを箱から取り出して与えた。
夢中になって遊ぶ子ども。
ああ、何やってんだろう……
身代金とか要求すればいいのだが、どうでもよくなった。