木製のアンティークの箱が足元にそっと置かれていた。
リサイクルショップを物色していた俺は、不用意にも軽く蹴ってしまう。
奥に座っていた黒ブラウスを着たおばさんの視線が刺さった。
「いけね」
心で舌打ちし、なおも探す。
素早く視線を移し、雰囲気のある本立てを求めて目を細めていたが、
「ねえな」
それらしいものはない。
本立てなどアンティークショップにはほとんど出ていなかった。
高校の帰り道、急に思い立って寄ってみたが期待外れ。
心を落ち着かせようとしたが、落胆の気持ちが苛々させる。
商品を指で突いたり、足でコツンと叩いたりしてしまったので、おばさんに声をかけずらくなった。
ため息をついてひとまず店を出た。