魔法のクリエイターと言われる理由、お教えします

人は知る。人は感じる。創作で。

【プロット】大学のオープンキャンパスで腹黒くなった浮浪者

 いわゆる路上生活者に成り下がった俺は、隅田川沿いのブルーシートハウスにいた。

 元々システムエンジニアをしていたため、単純作業などかったるくてできない。

 仕事をえり好みしているうちに、貯金が底をつき住む場所もなくなったのだ。

 古本屋で買ったプログラミングの本を読む以外には、たいしてやることがなかった。

 たまたま読んでいた雑誌の、奨学制度に目を留めた。

 将来システムエンジニアになれば、授業料と生活費を全額支払うというものだった。

 こんな生活をしていたら、本当にダメになる。

 藁にもすがる思いで、説明会が行われている大学へ向かう。

 相談ブースは、比較的空いていた。

 俺が腰を下ろすと、汚いものを見るように担当者は顔を顰めた。

「こちらは奨学金説明ブースですが、よろしいですか」

 さも以外という雰囲気に、俺のプライドは少し傷ついた。

「若い頃ATTデータのエンジニアをしていました。

 独立起業したところ失敗してこんな有様です。

 経営について学び、1から出直すために奨学金を希望します」

「入学試験は普通に受けてもらいますが、よろしいですか」

「死ぬ気で勉強し直して、誰よりも金持ちになって見せますよ」

 俺の心に火がついた。