俺は山の猟師。
鉄砲を持ってイノシシを狙い山に入った。
500キロ級の巨大イノシシが出たと聞いて、鉄砲を握る腕に力がこもる。
生涯最大の獲物かも知れない。
興奮を抑えきれず、車道の真ん中で仁王立ちになった。
鉄砲を構え、地平線へ向けてぶっ放そうとした。
だが待て、適当に打っても逮捕されるのが関の山だ。
やっとの思いで興奮を抑え、イノシシの痕跡を探し回った。
だが、丸一日歩きまわってもイノシシの糞も見つからなかった。
どうなってやがる。
また車道に出る。
どうも気分が昂ると車道に出てしまう。
すると、一台の乗用車が通り過ぎてとまった。
「ねえ、マタギじゃない」
「へえ、鉄砲持ってるよ」
珍しそうに見てやがる。
ちょっと脅かしてやるか。
いや待て、人間に向けたら逮捕されるだけだ。
どうも巨大イノシシの噂にペースを乱されていた。
気を取り直して山に戻ったときだった。