消費者契約法が施行されてからかなり経つが、マルチ商法の被害は依然として多い。
経済誌でそんな記事を読んだ。
化粧品や健康食品、給湯器など商材はさまざまだが、なぜなくならないのか。
私は経営者として知りたくなった。
整った言葉では伝わらない商売の本質が隠れている気がした。
ネット上でアポを取り、身分を隠してセミナーに参加してみる。
「私は、副業にして少し収入があったらって思いました」
「こっちの方が儲かるようになったから、一本に絞るつもりです」
担当者がついて、景気がいい話を聞かせている。
良い大学を出て、まじめに働く好青年もいる。
友人や職場の知人をターゲットにするのだから、長く続ける仕事ではないと思えた。
自分も商売人だから、他人の商売の邪魔はしない。
だが、騙されているのは明白だった。
今日であった人に説いて聞かせたところで、組織にダメージはないだろう。
私は一日を無駄にしたと後悔した。