鉛筆を削るときに、手回しの鉛筆削りを使っている。
最近はシャープペンシルを使うことが多いので、鉛筆自体珍しいのだがたまに鉛筆をイベントなどでもらうことがあって、それを使うことがある。
山田洋次監督の映画「男はつらいよ」の主人公「寅さん」が鉛筆を売る場面がある。
広告業界の研修で今でも使われることがあるという動画で、You Tubeで「寅さん鉛筆を売る」で検索すると見られる。
そこには広告の極意が描かれているということだ。
これを、ここでは表現の極意と読み替えたい。
甥っ子は鉛筆の特徴を宣伝するだけなので失敗する。
寅さんは、鉛筆からにじみ出てくる思い出話を情感豊かに語って見せる。
その場にいる人たちは、寅さんの話から自分の思い出を語りだし、イメージを共有する。
こうして鉛筆の営業成功となるわけだ。
鉛筆はすでにあまり使われていないし、商品自体に威力があるとは言えない。
だがその背景には、人の心を打つストーリーが眠っているのである。
それを見出して表現することができれば、鉛筆が魅力的なものに変化するのである。
小説家も、あらゆるものに魅力を見いだせる観察力を身につけるべきだと思う。