「ドキュメンタリー広告」は造語である。
商品に付加価値をつけるために、ストーリーを展開して心情に訴える広告戦略である。
最近SNSや動画投稿サイトを活用して、このようなドキュメンタリーで販促する事例が増えている。
例えばある不動産会社の広告で、モデルケースとして父親、母親、子どもの核家族世帯を設定した。
父親は残業が多い仕事をしているので、家族とコミュニケーションが少ない。顔を合わせても、目を合わせずに小さな声で挨拶すれ程度で、妻に話しかけられても疲れた態度でろくに返事もしない。
翌週になると、別の動画に代わり、クライアントの不動産屋で新しい賃貸マンションと契約し、引越しをする。
引っ越した先は、地域のコミュニティづくりに力を入れていると評判のマンションだった。
その次に、妻と少しだけ笑って話す夫の姿が映し出され、子どもにきちんと挨拶するように注意するようになる。
こんな展開で、次第に近所付き合いが始まり、笑顔が増えて行く様子を毎週更新していくのである。
モデルケースを設定する戦略は、ブティックなどのブランド戦略で良く用いられているが、それが他の分野でも見られるようになった。
また、商品とまったく関係ない取り組みをCSRとして実施し、ドキュメンタリーにした事例もある。
同時多発テロで肺の機能が3分の1しかなくなった消防隊員などによるコーラスが、歌えるようになるまでのドキュメンタリーを制作し、商品を広告した事例は有名である。